キーウの石像 Київська кам'яна статуя

ヴァレリー・ロバノフスキー、ディナモ・キーウ、ウクライナサッカーの忘備録

ウクライナ・プレミエルリーハ2019-2020

シーズン半ばに差し掛かっているが、今シーズンのウクライナ・プレミエルリーハ(プレミアリーグ)について。

f:id:oroshiskiy:20200212124416p:plain

レギュレーション

12チーム総当たり戦によるレギュラーシーズン28試合と、上位と下位に6チームによる総当たり戦10試合の合計38試合行われる。下位プレーオフの最下位のみが降格する。

リーグ機構は昨年7月にプレミエルリーハ改革を発表し、2部からは3チームが昇格し、2020-2021シーズンは14チームとなり、2021-2022シーズンは16チームになる予定。ウクライナ政変以降、16→14→12とチーム数は減少していたが、8年ぶりにチーム数が16に戻る。

VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は2020年から導入。

今シーズンから、ウクライナブックメーカー「ファウベット(FavBet)」が命名権を獲得し、「ファウベット・リーハ(FavBet Liha)」となった。

欧州カップ戦出場権

優勝チームにはUEFAチャンピオンズリーグ本戦(以下CL)出場権、2位にはCL予選3回戦の出場権、ウクライナカップ優勝チームにはUEFAヨーロッパリーグ(以下EL)の本戦出場権、3位にはEL予選3回戦の出場権が与えられる。

上位・下位プレーオフ終了後には、ELプレーオフが行われ、上位プレーオフ4~6位、下位プレーオフ7位の4チームでトーナメント戦を行い、勝ち上がったチームにEL予選2回戦の出場権が与えられる。

最終順位が3位以上のクラブがウクライナカップを制覇した場合、4位にEL予選3回戦の出場権が与えられ、ELプレーオフは、5~8位のクラブが参加する。

参戦チーム

ディナモ・キーウ

f:id:oroshiskiy:20200211172719p:plain

英語 Dynamo Kiev
ウクライナ語 «Динамо» Київ
ロシア語 «Динамо» Киев(ディナモ・キエフ

創設 1927年
ホーム キーウ
スタジアム NSCオリンピシキ(70,500人)、ロバノフスキー・ディナモ・スタジアム(16,873人)
監督 オレクセイ・ミハイリチェンコ

タイトル

ウクライナプレミアリーグ 15回
ウクライナカップ 11回
ウクライナ・スーパーカップ 8回
ソビエト連邦リーグ 13回
ソビエト連邦カップ 9回
ソビエト連邦スーパーカップ 3回
UEFAカップウィナーズカップ 2回(1974-1975、1985-1986)
UEFAスーパーカップ 1回

概要

ソビエト連邦リーグ優勝13回、ウクライナプレミアリーグ優勝15回と、ソ連ウクライナで最多の優勝を誇るウクライナを代表するクラブ。日本ではロシア語風の「ディナモ・キエフDynamo Kiev)」で一般的に通っているが、当ブログではウクライナ語由来の「ディナモ・キーウ(Dynamo Kyiv)で表記する。

ウクライナ独立以降は、90年代に9連覇達成するも、2000年代に入り、シャフタール・ドネツィクの台頭により、かつての栄光から陰りを見せている。2015-2016シーズンにリーグ優勝して以降、シャフタール・ドネツクに3連覇を許している状況だ。ウクライナ信用金庫の会頭のイホール・スルキス氏がオーナーを務める。

 

シャフタール・ドネツク

f:id:oroshiskiy:20200211172759p:plain

英語 Shakhtar Donetsk
ウクライナ語 Шахтар Донецьк(シャフタール・ドネツィク)
ロシア語 Шахтёр Донецк(シャフチョール・ドネツィク)

創設 1936年
ホーム ドネツィク(現在はハルキウ疎開
スタジアム OSCメタリスト(40,003人)※代替
監督 ルイス・カストロ

タイトル

ウクライナプレミアリーグ 12回
ウクライナカップ 13回
ウクライナ・スーパーカップ 8回
ソビエト連邦カップ 4回
UEFAカップ 1回(2008-2009)

概要

2000年代に入り台頭した、ウクライナ東部の工業都市ドネツィク(ドネツク)をホームとするクラブ。シャフタール(シャフチョール)は「坑夫」を意味する。1995年にウクライナ随一の大富豪リナト・アフメトフ氏がオーナーになった後、ブラジルを中心に大型補強を行い、2001-2002シーズンにリーグ初優勝すると、現在に至るまで12回優勝するなど、現在ではディナモ・キエフに代わり、ウクライナを牽引するクラブと言えるだろう。ドンバス紛争の影響により、2014年よりホームをリヴィウに、2017年からはハルキウに移している。

 

FCオレクサンドリーヤ

f:id:oroshiskiy:20200211172843p:plain

英語 FC Oleksandriya
ウクライナ語 ФК «Олександрія»

創設 1948年
ホーム オレクサンドリーヤ
スタジアム CSCニカ(7,000人)
監督 セルヒー・クズメンコ

概要

ウクライナ中部のドニプロペトロウシク近郊、人口8万人の小都市オレクサンドリアをホームとするクラブ。前身はポリラフテフニカ・オレクサンドリアで、2003年に現在の名前に変更。地元オレクサンドリア出身で農業ビジネスを営み、昨年までキロヴォフラード州知事を務めていたセルヒー・クズメンコ氏がオーナー。長らく下部リーグが定位置だったが、2015年に1部昇格後は安定した成績を収め、昨シーズンはクラブ史上最高の3位まで浮上した。

 

ゾリャ・ルハンシク

f:id:oroshiskiy:20200210115824j:plain

英語 FC Zorya Luhansk
ウクライナ語 ФК «Зоря» Луганськ
ロシア語 ФК «Заря» Луганск(ザリャ・ルガンスク)

創設 1923年
ホーム ルハンシク(現在はザポリージャ疎開
スタジアム スラヴチュク・アレナ(12,000人)※代替
監督 ヴィクトル・スクリプニク

タイトル

ソビエト連邦リーグ 1回

概要

ソ連時代の1969年にリーグ優勝を果たしているウクライナ東部ルハンシク(ルガンスク)をホームとするクラブ。「ゾリャ」は夜明けを意味する。ドンバス紛争の影響により、ウクライナ中部のザポリージャをホームスタジアムとして使用する。イェヴハン・ヘレル氏の鉄鋼業のウクルスブラフの傘下にある。2019年には元U-21日本代表DF浦田樹が所属していた。近年は上位に定着している。近年は3番手を争い、2016-2017、2017-2018のヨーロッパリーグのグループステージにも参戦している。

 

カルパティ・リヴィウ

 

f:id:oroshiskiy:20200210122223p:plain

英語 FC Karpaty Lviv
ウクライナ語 ФК «Карпати» Львів
ロシア語 ФК «Карпаты» Львов(カルパティ・リヴォフ)

創設 1963年
ホーム リヴィウ
スタジアム ウクライナスタジアム(28,051人)、アレナ・リヴィウ(34,915人)
監督 ロマン・サンジャル

タイトル

ソビエト連邦カップ 1回(1969年)

概要

ウクライナ西部のリヴィウをホームとするクラブ。ソ連時代には1969年にカップ優勝している。2011-2012シーズンはヨーロッパリーググループステージにも出場し、PSG、セビージャ、ドルトムントとも対戦している。ガソリンスタンドチェーンのWOG、通信社のZIK通信のオーナーを務めるペトロ・ディミンスキー氏がオーナーを務める。ホームは主に28051人収容のウクライナスタジアムをメインに使用する。近年は下位に低迷している。

 

ヴォルスクラ・ポルタヴァ

f:id:oroshiskiy:20200210131719p:plain

英語 FC Vorksla Poltava
ウクライナ語 ФК «Во́рскла» Полта́ва 

創設 1955年
ホーム ポルタヴァ
スタジアム ブトスキー・ヴォルスクラ・スタジアム(24,795人)
監督 ユーリ・マクシモフ

タイトル

ウクライナカップ 1回(2008-2009)

概要

キエフから東にあるウクライナ中部地方にあるポルタヴァをホームとするクラブ。1996年に昇格してから、20年以上トップリーグに在籍し続ける中堅クラブ。ヨーロッパリーグでは2011-2012、2018-2019の2シーズンでグループリーグ出場している。鉄鋼業ビジネスを展開するコンスタンティン・ジェヴァゴ氏がオーナーを務める。2008-2009シーズンのウクライナカップでは、決勝でシャフタール・ドネツクを破り、クラブ史上初のタイトルを獲得している。

 

FCマリウポリ

f:id:oroshiskiy:20200210115806p:plain


英語 FC Mariupol
ウクライナ語 ФК «Маріуполь»

創設 1960年
ホーム マリウポリ
スタジアム ヴォロディミル・ボイコ・スタジアム(12,000人)
監督 オレクサンドル・バビッチ

概要

ウクライナ東部ドンバス地方の港町マリウポリをホームとするクラブ。長らく下部リーグを定位置としていたが、2018-2019シーズンはクラブ史上最高の4位で終えた。ドンバス紛争の影響により、2014年からドニプロペトロウシク疎開していたが、現在はマリウポリへ復帰している。2002年から2017年までイリチェヴィチ・マリウポリとして活動していたが、2017年から現在の名前になっている。2002年に交通事故死したステパン・モロクツコがつけていた背番号10が永久欠番になっている。パキスタン人のタリク・マフムート・チャウドリー氏がオーナーを務める。

 

オリンピク・ドネツク

f:id:oroshiskiy:20200211165305p:plain

英語 FC Olimpik Donetsk
ウクライナ語 ФК «Олімпік» Донецьк(オリンピク・ドネツィク)
ロシア語 ФК «Олимпик» Донецк

創設 2001年
ホーム ドネツク(現在はキーウへ疎開中)
スタジアム ロバノフスキー・ディナモ・スタジアム(16,873人)※代替
監督 ビセンテ・ゴメス

概要

2001年に地元ドネツクのスポーツアカデミーが設立したクラブ。地元選手の育成に力を入れており、ウクライナの各年代別の代表選手を輩出している。創設以来、会長職につくウラジミール・ヘルジン氏は、選手として2016年までプレーした。現在、U-21、U-18のリーグ戦での八百長疑惑により、ウクライナプレミアリーグからの追放の可能性がある。ドンバス紛争の影響により、ホームをキーウに移している。

 

FCリヴィウ

f:id:oroshiskiy:20200211172659p:plain

英語 FC Lviv
ウクライナ語 ФК Львів
ロシア語 ФК Львов(FKリヴォフ)

創設 2006年
ホーム リヴィウ
スタジアム ウクライナスタジアム(28,051人)、アレナ・リヴィウ(34,915人)
監督 ウラジミール・マジャル

概要

2006年にウクライナ西部のリヴィウに設立されたクラブ。1992年から2001年まで活動していた同名クラブとは無関係。2008-2009シーズンに1部昇格を果たすものの1年で降格。2015年に財政難によりリーグから撤退し、育成期間として活動していたが、2017-2018シーズンにチームを再スタート。シーズン終了後に財政が破綻したヴェレサ・リヴネを吸収合併する形で1部に昇格した。チームの約半数はブラジル人が所属しており、2019年には元FC東京のリッピヴェローゾがプレーした。

 

FCデスナ・チェルニーヒウ

f:id:oroshiskiy:20200211173107p:plain

英語 FC Desna Chernihiv
ウクライナ語 ФК «Десна» Чернігів
ロシア語 ФК «Десна» Чернигов(FKデスナ・チェルニゴフ)

創設 1960年
ホーム チェルニーヒウ
スタジアム チェルニーヒウ・スタジアム(12,060人)
監督 オレクサンドル・リャボコン

概要

1960年にアヴァンギャルド・チェルニゴフとして設立された、ウクライナ北部のチェルニーヒウにあるクラブ。ウクライナ独立後も含め、下部リーグが定位置だったが、2017-2018シーズンにプレミアリーグに初昇格。監督のオレクサンドル・リャボコン氏は2012年から指揮をとり、在籍8年で3部リーグから昇格を果たしている。「デスナ」はロシア北部からドニエプル川へ流れる、デスナ川を由来とする。ホームのチェルニーヒウ・スタジアムはウクライナ女子代表もホームとして使用する。

 

SCドニプロ-1

 

f:id:oroshiskiy:20200212122347p:plain

英語 SC Dnipro-1
ウクライナ語 СК «Дніпро-1»
ロシア語 СК «Днепр-1»

創設 2017年
ホーム ドニプロ
スタジアム ドニプロ・アレナ(31003人収容)
監督 ディミトリ・ミハイレンコ

概要

2017年3月にウクライナ南部のドニプロで設立されたクラブ。ドニプロの政治家ユーリ・ベレザと、元FCドニプロの選手で現役選手のロマン・ゾズリャ(現アルバセテ)によって設立された。ウクライナ内務省に所属する特別パトロール組織「ドニプロ-1」とよく似たエンブレムを使用している。設立2年でプレミエル・リーハに昇格しており、2019年で解散したFCドニプロの後を継ぐクラブとして期待される。

 

 

コロス・コヴァリウカ

f:id:oroshiskiy:20200211172648p:plain

英語 FC Kolos Kovalivka
ウクライナ語 ФК «Колос» Ковалівка
ロシア語 ФК «Колос» Ковалёвка

創設 2012年
ホーム コヴァリウカ
スタジアム オボロン・アレナ(5,100人)
監督 ルスラン・コスティシン

概要

2012年に創設されたキーウ近郊の小都市コヴァリウカをホームとするクラブ。ホームのコロス・スタジアムは1500人と収容人数が少ないため、オボロン・キーウ(現在2部)が使っているオボロン・アレナを使用する。創設以来、キーウ州選手権に参戦し、2012年から3連覇を達成。チームは徐々にカテゴリーを上げ、今シーズンはクラブ史上初のプレミエル・リーハを戦う。「コロス」は巨像を意味する。